書の窓辺 Vol.60日本書道教育協会

日書協情報「書の窓辺」

2015年4月・5月号 Vol.60 平成27.4.1発行

<Contents>
【時報】◇月刊書道競書誌『習字塾』、『現代書写』としてリニューアル
【TOPIC】◇書作品『富嶽三十六景』を静岡県に寄贈
【書とビジネス】◇現代建築に活きる平安・料紙の美
【硯海】◇道澄寺鐘銘  -歴史は語るー
【こころに残る言葉】◇鶏口牛後
【BOOKナビ】金文辞典
【事務局だより】
  ◇総合書道(競書)誌『習字塾』会員の募集!
  ◇「仮名条幅講座」受講者の募集!(初心者歓迎)
  ◇情報紙『書の窓辺』の贈呈について

時報

月刊書道競書誌『習字塾』、『現代書写』としてリニューアル

― 星霜35年“常に新しく”大学書道教育のノウハウを活かす ―
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〔写真左:新装なった4月号書誌 写真右:条幅拡大手本〕
本協会発行の月刊『習字塾』は、本年3月で創刊35年・通巻421号を迎え、4月号から一層の充実を図り、装いも新たに『現代書写』として誕生した。
本誌は、平形精逸静岡大学名誉教授・常葉大学教育学部教授・日展会友が自ら主宰の競書誌である。
昭和54年4月に同教授が、静岡大学教育学部助教授の時代に崇高な教育理念に基づき、中正かつ格調の高い書風を基調として、文部科学省学習指導要領・同省後援書写検定(毛筆・硬筆)に準拠を編集方針に、その精神と信頼ある企画を貫いている。これら35年の歴史は、多くの書道人を輩出するなど、書写書道の向上・発展に大きく寄与している。
発祥は静岡県静岡市であるが、今や会員は北海道から沖縄県まで全国に広がり近年「書写書道」離れが危惧される中でも増加している。
本誌、『現代書写』の強み・characteristic(特徴)は、第一線の大学書写書道教育者のノウハウを企画・編集に活かしており、他に類例のない魅力ある競書誌を創造している。

<本誌の八大特徴>
(1)中正かつ格調の高い書風を基調にした編集方針及び手本。
(2)執筆陣は全国書写書道教科書編集・執筆者。
(3)大学書写書道教育に携わる教授・講師等による企画・編集。
(4)実用と芸術の書道が複合的に学べる。
(5)文部科学省学習指導要領、同省後援書写検定(毛筆・硬筆)準拠。
(6)体系的な段級位・師範認定制度。
(7)条幅拡大手本(詳細な解説付き)の特別頒布。丁寧な学習解説。
(8)その他、「書道大学講座」等の開催。また、会員には、書写書道に関する今日的話題を発信する“日書協情報『書の窓辺』”を希望者に隔月、無料配布している。
美しい文字は一生の宝・人の憧れでもある。一人でも多くの方に、“伝統と新たな時代を提唱”する競書誌『現代書写』を手にしていただきたいものである。

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書作品『富嶽三十六景』を静岡県に寄贈

静岡、山梨両県が定める「富士山の日」の2月23日、平形精逸静岡大学名誉教授・常葉大学教育学部教授と日本書道教育協会が書作品『富嶽三十六景』を静岡県に寄贈した。
作品の贈呈は、「富士山の日」記念行事の第二部の式典(日本平ホテルボールルーム)で参加者約400人が見守る中で、川勝平太静岡県知事に平形精一静岡大学名誉教授から、の目録と作品が手渡された。
本作品は、富士山世界文化遺産登録及び富士山世界遺産センター(仮称)の設置を記念して平形教授が臨書揮毫し、日本書道教育協会が制作協力したものである。
気高く美しい富士山の四季は、人に美意識を彷彿させ、絵画や写真、詩歌などに転化・表出されている。中でも葛飾北斎の画「冨嶽三十六景」は極めて有名である。
人の書く文字にもそれぞれの表情がある。これを「書」で表現・試みたのが、史上初の“書の『富嶽三十六景』”の誕生である。
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左:川勝知事(左側)に目録を贈呈する平形教授(写真::静岡県提供)
右:書作品 『富嶽三十六景』

― 「ふじのくに和の食文化の振興」に一役 ―
本作品は歴史的文献や資料を基に、古代中国の殷・周の時代から日本の江戸まで時空を超えて伝わる古今東西の名筆・書聖王羲之、空海をはじめ聖徳太子、徳川家康、良寛等多くの書蹟を調べ集めた、「富・士・山」の文字約2600字から「富士山」の熟語36を編み、全108文字を厳選し、学術的・芸術的な価値・オリジナル性を追究、現代に甦らせたものである。
 作品を構成する文字は、「銀嶺(ぎんれい)の冨士」をイメージして、純白の画仙紙に銀色の界線を引き、その中に墨痕鮮やかに、原則として年代順・書体の発生順(甲骨文→篆書→隷書→草書→行書→楷書)に平形教授が臨書揮毫した。また作品を支えるマットの色は樹木が青々と茂った山を形象、これら全体が“書の『富嶽三十六景』”を形成する。
作品の大きさは縦128㎝×横178㎝(額の寸法)の大作である。
今、日本が誇る世界文化遺産の富士山や漢字など筆文字等への関心が、欧米人に高まっている。“美しさへの心眼は万国共通である。キラリと光る「書」の個性を多くの人々に再認識されるよう念願したい。

書とビジネス

現代建築に活きる平安・料紙の美

― 惜しまれる老舗ホテルの建て替え ―
日本三大ホテル、ホテルの御三家とも称される帝国ホテル、ホテルオークラ、ホテルニュ―オータニの一角、ホテルオークラ東京本館(東京・虎ノ門)が、8月末で営業を終了。9月から取壊され、東京オリンピック前2019年2月末に竣工する予定である。
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〔写真左:平安の間 写真右:ホテルオークラ東京ロゴ〕
東京本館は創業者の大倉喜八郎氏が「建築やインテリアに日本の粋を集め日本ならではの国際的なホテルを作る」構想のもとに建設されたという。
都会に位置しながら、緑に囲まれた静寂な佇まい。“日本の紋様とホテルオークラ”の名のとおり、ロビーや館内随所に日本の文様をほどこした上質な趣、くつろぎの空間は、3万6000坪の芸術と言われている。
注目したいのは、大宴会場平安の間の大壁面(上・下幅 3.2m×100m)は、三十六人家集料紙にある継色紙の構図、紋様、色彩、技法、材料を骨子として製作したもの。また「清流の間」墨流しである。清流の間の壁面は、実際に墨流しを行ない制作したもの。
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〔写真左:「平安の間」の料紙の紋様(部分) 写真中・右:西本願寺三十六人家集〕
『西本願寺三十六人家集』は十二世紀の装飾料紙と仮名として最も象徴的な作品。継紙料紙、華麗な造形美の追究は、書よりも絵画や工芸の分野で大きく取りあげられるという。
このような日本文化の粋を集めた装飾・ホテルオークラ東京本館の取壊しは、海外の専門家からも惜しまれている。古の書古典・美しい料紙が建築装飾に活かされている素晴らし先人の知恵に関心を持たずにはいられない。

硯海

道澄寺鐘銘

奈良県五條市の榮山寺の梵鐘(国宝)は、もと山城国紀伊郡・道澄寺の鐘であったところから、「道澄寺鐘銘」と呼んでいる。鐘銘は、京都市高雄山の「神護寺鐘銘」と共に鐘銘の双璧とされている。これに奈良市の「興福寺南円堂銅燈台銘」を加え日本の書道史を代表する三銘文と言われている。
延喜十七年(917)鋳鐘と記され、鐘銘は陽鋳で、全文は四区(各区は縦44㎝、横50~55㎝)からなり一区に道澄寺創建者(藤原道明、橘澄清)二名の官位・役職、第二区と三区に寺の創建、梵鐘製作、第四区が銘文となっており仏教と梵鐘の功徳を四言の韻文で綴られ、その書は壮観にして雄勁、豊潤ですばらしいと評されている。
梵鐘の撰文、筆者については、菅原道真撰、小野道風書と伝えられているが、はっきりしていない。
徳井伸行 (元青森山田高校通信制課程講師)

心に残る言葉

鶏口牛後

― 師の言葉は重い ―
「鶏(けい)口(こう)となるも牛後(ぎゅうご)となるなかれ」良く知られている故事である。編集子が中学生の時、恩師に教わった言葉であるが、社会人としての実体験から未だに忘れられない。
四月は、学校や社会・組織も新年度のスタート、心改まる季節である。社会人として小さな組織に配属されたことによって見いだされ重用された経験から未だに忘れられない。

鶏口牛後(寧ろ鶏口と為るも、牛後と為る無かれの略)出典:『史記』蘇秦列伝
【意味】大きな集団や組織の末端にいるより、小さくてもよいから長となって重んじられるほうがよいということ。「鶏口」は鶏の口(くちばし)。弱小なものの首長のたとえ。「牛後」は牛の尻。強大なものに隷属する者のたとえ。

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書棚からの一冊

洗練された造形美。蘇る古代文字!
誰でも気軽に使える文庫本サイズのハンディな金文(青銅器の銘文等の書体)の字典。常用漢字・人名用漢字を網羅。編者の筆になる端正な手書き字例二七七三字を収録し、引きやすいように読みで配列する。参考として主な部首の「筆順」を掲載。巻末には、検索に便利な音訓・総画索引を完備。
 他に、同じタイプの『印篆字典』、『小篆字典』がある。
金文辞典  綿引滔天編 二玄社  定価1500円+税

事務局だより

総合書道(競書)誌『習字塾』会員の募集!

本誌は,書道教育の粋を集め“整った美しい文字と精緻な編集”で,全国的に定評があります。書道は学業の上達や生涯学習のツールとして,子ども・大人の別なく取組め,趣味としても最高の技芸です。いま,書道は日本文化として再評価されています。
権威の証しとなる段級位や師範認定,文科省後援の「書写検定」にも挑戦できます。

「仮名条幅講座」受講者の募集!(初心者歓迎)

今,日本の素晴しい文化が注目されています。本講座はその真髄でもある仮名書道の極致,奥深さ・妙味を学べる絶好の機会。元大学講師が語る平安文化や現代に至る書道にまつわる歴史・文化の話題は圧巻です。
・開講日:毎月1回・第1火曜日(休日の場合第2火曜日)午後1時30分~3時30分・本会研修室
・講師:西口雅子前静岡大学講師・元静岡英和学院大学講師・書道誌『習字塾』仮名条幅課題執筆
・座 学:古典研究・作品鑑賞・古典仮名にまつわる話題。
・実 技:①古典の鑑賞・添削指導 ②条幅課題の添削・講師模範揮毫・古典の臨書指導

情報紙『書の窓辺』の贈呈について <好評につき配布中>

本情報紙は、書塾や会員と日書協を繋ぐメッセージとして隔月発行しています。創刊から9年余、多くの皆様の求めに応じ発行部数も増加しています。塾によっては、塾と塾生を結ぶ資料活用、全員配布をしています。必要部数をお知らせください。

構成編集 山中俊樹(日本書道教育協会事務局長)
編集副代表 見城正訓  総務担当 小林由香利

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2015年04月01日 category : お知らせ, イベント情報, コラム, 情報, 情報一覧 
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