書の窓辺 Vol.57日本書道教育協会

日書協情報「書の窓辺」

2014年10・11月号 Vol.57 平成26.10.1発行

<Contents>
【TOPIC1】◇平形教授、『茶の都しずおか憲章』の書を知事に贈呈
【TOPIC2】◇史上初の“書の「富嶽三十六景」”構想を提案
【書とビジネス】◇手紙・Eメールの宛名「敬称」考
【全国の動き】◇レジャー白書2014・余暇活動
【硯海】◇神護寺鐘銘  -歴史は語るー
【こころに残る言葉】◇「あっ」が大切
【BOOKナビ】書譜字典
【事務局だより】
  ◇総合書道(競書)誌『習字塾』会員の募集!
  ◇「仮名条幅講座」受講者の募集!(初心者歓迎)
  ◇情報紙『書の窓辺』の贈呈について

TOPIC1

平形教授、『茶の都しずおか憲章』の書を知事に贈呈

57-1― 茶と書はよく似合う ―
平形精逸静岡大学名誉教授・常葉大学教育学部教授・日展会友が8月4日,川勝平太静岡県知事に,県が制定した「ふじのくに『茶の都』しずおか憲章」の書作品を贈呈した。
知事は,「憲章は茶の振興のための五箇条の御誓文,茶の産業・文化に貢献いただきありがたい…」と,礼を述べられた。作品はその場で,重厚荘重な県庁本館4階に掲げられ多くの来訪者の眼を惹いている。
作品は,縦88㎝×横55㎝の額装で一般に親しみやすい行書で書かれている。            

ふじのくに「茶の都しずおか」憲章

一、お茶の文化を守り育てましょう
一、お茶の産業を一層発展させましょう
一、お茶の機能を学んで健康になりましょう
一、お茶を通しておもてなしの心を育てましょう
一、お茶を通して平和な社会を築きましょう
県庁は県民のための機関,是非気軽に訪れていただきたいものである。
〔*写真画像:2014年8月5日付け静岡新聞より(川勝平太知事〈左〉と平形精逸教授) 〕

TOPIC2

史上初の“書の「富嶽三十六景」”構想を提案

― 平形精逸教授が「構想」を知事に説明 ―57-2
〔川勝知事(中央)の左が説明する平形教授 写真撮影:静岡県庁世界遺産センター整備課〕
平形精逸静岡大学名誉教授・常葉大学教育学部教授と日本書道教育協会が,9月4日,県庁で川勝平太静岡県知事に,富士山世界遺産登録及び富士山世界遺産センター(仮称)の開館を記念し制作する“書作品『富士山三十六景』”(愛称:書の『富嶽三十六景』)の構想を草稿(構想図)にまとめ説明した。
作品は,古今東西の文献資料から王羲之・空海・家康などの名筆・「富・士・山」の文字を渉猟し,様々な書体36を選び,文字の多彩な姿・形を平形教授が臨書揮毫し,“書の「三十六景」”として現すものである。
名筆の発掘・蒐集には,「静岡県が編んだ『富士山百人一首』が役立った。これにも知事は深い関心を示してくれた。
制作のコンセプトは三つ,(1)「気高く美しい富士山」に四季の表情があるように,「人の書く文字」にもそれぞれ表情がある。漢字の歴史三千五百年,時空を超えた「書」の景(形)で世界文化遺産・日本の象徴「富士山」を讃える。 また,(2)北斎の『富嶽三十六景』,広重の『富士三十六景』の浮世絵は夙に有名であるが,「書」にはこれまで,このような発想がない。そこで史上初の“書の『富嶽三十六景』”の制作を試みる。 さらに,(3)昨今,外国人の筆文字・書への関心が高まっており“美しさへの心眼は万国共通”,日本の伝統文化の一つである「書」を通して世界に誇る「芙蓉の峰」を崇める。
なお,作品は,県が富士宮市に建設する富士山世界遺産センター(仮称)に常設展示できるよう,平成27年(2015)の「富士山の日」を目途に制作し,静岡県に寄贈する予定。
大きさは,縦100㎝×横150㎝程度で,墨痕鮮やかな書の美と調和した額装とする。

書とビジネス

手紙・Eメールの宛名「敬称」考

― 「様」・「さま」・「サマ」 ―
手紙の宛名に付ける敬称には,「殿」・「様」・「各位」・「御中」などがある。
最近,知人から届くEメールの宛名や敬称の仮名書き…「〇〇さま・○○サマ」が気になる。ネットで検索すると同じような疑問が多く寄せられている。“ベストアンサー”は,
* 「さま」のひらがな表記は親しい間柄の人で,簡易な文書のものであれば,使用しても問題ないと思います。
* ビジネスマナー上「さま」はNG。ビジネスメールでも宛名でも,やはりビジネスマナー上正しいのは「様」の漢字表記が一般的なようです。
* ひらがなで表記すると,敬称の「敬意」がかなり落ちてしまうので「漢字で書くのが無難」。
* 相手を特別に敬う必要がなくても,くだけ過ぎという印象を抱かせてしまうのは望ましくない。
このように,「様」の仮名書きは,“やさしい,親しみやすい”とする肯定論に対し,正式の文書やビジネスシーンではNG。良くないと言うのが一般的…。その原点に,日本の良き文化や親しき仲にも礼儀ありを感じる。
57-32
文化庁編・ことばシリーズ21『言葉に関する問答集4』によれば,「殿」は,平安時代摂政・関白の地位にある人に付けたのが初めてであると言われる。敬称の「殿」の書体は,かつては略し方によって七種類に分けられ,あて名の人の身分,又は差出人との関係によって使い分けられたという。
楷書で書かれた極上の「殿」から,家来にあてた仮名書きの「との」まである。
敬称の「様」は,「殿」よりあとの室町時代から見え,江戸時代に多くなる。「様」にも,字体・書体によって,かつては,敬意に上・中・下(*右の画像参照)の区別があったとされる。(参考:『言葉に関する問題集総集編』文化庁編)
事,「様」の仮名書きも「殿」の位置づけと同じだと思われる。

全国の動き

レジャー白書2014・余暇活動

 日本生産性本部余暇総研が『レジャー白書2014~レジャー時代の余暇満足度~』を8月4日発表した。白書は,「日本人の余暇の現状」・「2013年の余暇関連産業・市場動向」・「特別レポート,余暇満足度」等から構成されている。
調査方法は,インターネット調査。調査対象は全国15歳~79歳男女,有効回収数3.349人,調査時期は2014年1月である。ここでは,調査結果から「趣味・創作部門」の余暇活動の参加活動の参加率を「抜粋」で紹介する。なお,データは7年であるが,紙面の都合で2012年・2013年に限った。
1447174090278
〔趣味・創作部門 余暇活動の参加率(%) 〕

硯海

神護寺鐘銘    ―歴史は語るー

57-4
〔「神護寺鐘銘」部分〕
京都・高雄山の神護寺には、日本三大名鐘の一つ、「神護寺梵鐘(国宝)」がある。
姿(形)の平等院、音の三井寺、銘の神護寺といわれている。
神護寺の前身は高雄山寺で、天長元年(824)神護寺と改称された。唐から帰国した空海はこの高雄山寺に住持し、金剛界灌頂、胎蔵界灌頂を伝授した。そのときの空海の書いた覚え書き『灌頂記』(灌頂歴名・国宝)が残されている。
“銘の神護寺”といわれている梵鐘は貞観十七年(875)の銅製鋳造で、銘文は橘広相が序詞をつくり、八韻の銘は菅原是善、書は藤原敏行と当時の三絶による銘が刻まれていることから、「三絶の鐘」とも呼ばれている。『神護寺鐘銘』は二百四十五字あり、一行八字で、三十二行に楷書で書かれている。
 藤原敏行は三十六歌仙の一人で、 秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ おどろかれぬる (古今和歌集)などがあり歌人としての才能ばかりでなく、大極殿の額や渤海に遣わす国書を書いた。また、島田忠臣や菅原道真の詩を屏風の色紙形に書いた。しかし、現存する筆跡としては「神護寺鐘銘」が唯一のものである。
徳井伸行 (青森山田高校通信制課程講師)

心に残る言葉

「あっ」が大切

― 心の「揺れ」をつかまえて ―
「あっ」が大切!。これは,俵万智さんの『短歌をよむ』(岩波新書)に出てくる言葉である。
【あっ】は,「驚いたり感動したりしたときなどに思わず発する語。驚きや感動を表わし発する声など」と『広辞苑』などにある。
この言葉は,感性のときめき…。ものごとを発想・創造するときにも強く感じる。書道においても作品の鑑賞・書作の草稿を考える時など,大切だと思う。
心の「揺れ」をつかまえて
「あっ」が大切
短歌を詠むはじめの第一歩は、心の「揺れ」だと思う。どんなに小さなことでもいい、なにかしら「あっ」と感じる気持ち。その「あっ」が種になって歌は生まれてくる。
 「あっ」がなかったら、どんなにがんばって言葉を並べても、歌にはならないだろう。逆に「あっ」がありさえすれば、上手下手はあっても、必ず歌になると思う。
 「あっ」なんて表現ではすまされないような波瀾万丈の人生や、大きな感動。もちろんそれらからも、たくさんの短歌は生まれてくる。第Ⅰ章でも述べたように、大きな感動から小さな感動まで、伸縮自在に対応できるというのが、短歌のいいところ。……
(*『短歌をよむ』86頁よりの抜粋)

BOOKナビ

書譜字典 二玄社編集部編  二玄社

王羲之の正統を伝える 草書名跡の字典!
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◇底本は真跡本「書譜」(国立故宮博物院蔵)を使用、欠失箇所は刻本(拓本)より補った。◇収録された見出し字は1052字、字例数は3776字に及ぶ。◇見出し字の配列は『康煕字典』に倣って部首順とした。◇『中国書法選38書譜』と対照できるよう各字例に頁・行数を注記。◇巻末には総画・音訓索引を設けた。
書譜字典 二玄社編集部編  二玄社    定価1296円(本体価格 1200円)

事務局だより

総合書道(競書)誌『習字塾』会員の募集!

本誌は,書道教育の粋を集め“整った美しい文字と精緻な編集”で,全国的に定評があります。書道は学業の上達や生涯学習のツールとして,子ども・大人の別なく取組め,趣味としても最高の技芸です。いま,書道は日本文化として再評価されています。
権威の証しとなる段級位や師範認定,文科省後援の「書写検定」にも挑戦できます。

「仮名条幅講座」受講者の募集!(初心者歓迎)

今,日本の素晴しい文化が注目されています。本講座はその真髄でもある仮名書道の極致,奥深さ・妙味を学べる絶好の機会。元大学講師が語る平安文化や現代に至る書道にまつわる歴史・文化の話題は圧巻です。
・開講日:毎月1回・第1火曜日(休日の場合第2火曜日)午後1時30分~3時30分・本会研修室
・講師:西口雅子前静岡大学講師・元静岡英和学院大学講師・書道誌『習字塾』仮名条幅課題執筆
・座 学:古典研究・作品鑑賞・古典仮名にまつわる話題。
・実 技:①古典の鑑賞・添削指導 ②条幅課題の添削・講師模範揮毫・古典の臨書指導

情報紙『書の窓辺』の贈呈について <好評につき配布中>

本情報紙は、書塾や会員と日書協を繋ぐメッセージとして隔月発行しています。創刊から9年余、多くの皆様の求めに応じ発行部数も増加しています。塾によっては、塾と塾生を結ぶ資料活用、全員配布をしています。必要部数をお知らせください。

構成編集 山中俊樹(日本書道教育協会事務局長)
編集副代表 見城正訓  総務担当 小林由香利

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2014年10月01日 category : お知らせ, イベント情報, コラム, 情報, 情報一覧 
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